「パワハラ」と「指導」の違いを見極めるポイント

心理コラム

多くの職場では、上司が部下に厳しい態度で接することが「指導」として認められる傾向にありますが、実際にはそれがパワハラとされるケースも少なくありません。
本記事では、パワーハラスメントと指導の違いを明確にし、社員を成長に導くための適切な指導のあり方について詳しく解説していきます。

パワーハラスメントとは

パワーハラスメント(パワハラ)は、職場における優越的な立場を利用して、他者に精神的・身体的苦痛を与える行為です。厚生労働省が定めた「職場におけるパワーハラスメント防止対策に関する指針」の中で、パワハラ行為の例として6つの行動類型が示されています。

  1. 身体的な攻撃: 殴る、蹴るなどの暴力行為
  2. 精神的な攻撃: 侮辱、怒鳴りつける、過度な叱責
  3. 人間関係からの切り離し: 仲間外れにする、無視する
  4. 過大な要求: 過剰な業務量や無理な仕事を強いる
  5. 過小な要求: 能力や役割に見合わない簡単な仕事だけを与える
  6. 個の侵害: 個人の私生活に過度に干渉する
注目

パワハラは、他者に圧力を与えることを目的としており、短期間でもその影響は大きく、最悪の場合、被害者が退職を余儀なくされたり、精神的な不調に陥ることもあります。

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指導とは

一方で、「指導」は部下や後輩がスキルや知識を高め、業務に貢献できるよう支援する行為です。具体的には以下のような手法が含まれます。

  1. 教える: 業務に必要な知識やスキルを伝える
  2. フィードバック: 業務の良い点や改善点を明確に伝える
  3. 目標設定: 達成すべき目標や基準を明確に伝える
  4. サポートと助言: 問題解決のための助言やリソースを提供する
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良い指導とは、部下が成長を実感し、自信を持って業務に取り組める環境を整えることです。上司や先輩が部下を尊重し、前向きな姿勢でサポートすることで、職場の雰囲気も自然と良くなります。

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パワーハラスメントと指導の違いを見極めるポイント

両者の違いは、その行動の「意図」や「感情」に現れます。

もちろん、社員の誤った行動や不誠実な対応に対しては、指導を行う必要があります。
繰り返しになりますが、重要なのは、発言に込められた「意図」や「感情」です。指導は、相手の成長能力向上を目的とするものであり、一方でパワーハラスメントは相手を支配し、心理的な屈辱を与えることを目的としています。この違いを理解し、適切な指導を心がけましょう。

【具体例】パワハラと指導の違い

以下に、具体的なケースを挙げて違いを見ていきましょう。

Case1 プロジェクトの進行が遅れている場合

  • パワーハラスメントの場合
    「こんな簡単なこともできないの?遅れたらどう責任取るの?」と感情的に責めて個人攻撃をする
  • 指導の場合
    「遅れた原因を見直して、改善策を一緒に考えましょう」と課題を共有し、解決に向けた協力姿勢を示す

Case2 社員がミスをしたとき

  • パワーハラスメントの場合
    「何度同じミスをすれば気が済むんだ?本当に使えないな」「もうやらなくていいよ」と感情的に責めたり突き放す
  • 指導の場合
    「ミスが起きた原因を見つけて、次からはこのチェックリストを使ってみましょう。」と原因を確認し、改善策を提案する

Case3 社員が納期を守らないとき

  • パワーハラスメントの場合
    「こんな簡単なことも守れないなら仕事は任せられないよ」「「〇〇さんのようなことは皆さんはやらないように気をつけましょう」と人格否定したり大勢の前で叱責する
  • 指導の場合
    「納期が遅れた原因を確認して、今後のスケジュール管理を改善しましょう。」「今後のスケジュール管理でサポートできることがあれば教えてほしい。」とミスを指摘しつつ改善に向けて部下の立場に寄り添う姿勢をもつ
ポイント

このように、パワハラと指導の違いは、部下を責めるだけで終わるのか、それとも改善に向けてサポートを提供するのかで分かれます。部下の成長を促すには、相手の立場に寄り添い、建設的なアプローチを意識した指導が効果的です。

マネジメント検査で人材育成

パワハラと指導の違いを理解し、適切なフィードバックとサポートを提供することは、働きやすい環境を作るための第一歩です。
当社の「マネジメント検査」では、知らず知らずのうちに発生しているかもしれないパワハラスメントの兆候を測定し、改善に役立つフィードバックをお届けします。

Q. どんなことができるの?

  • リーダータイプを診断します
  • リスクチェックを行います
  • 管理職としての得意分野や苦手分野を可視化します

Q. どんな効果があるの?

リスクチェックや苦手分野といった、普段指摘しづらい課題を可視化することで、EQの高い管理職を育成することが可能になります。これにより、部下の潜在能力を引き出すだけでなく、離職予防メンタルへルス不調の予防といった、組織全体の健康維持の効果が期待できます。

Q. 他社との違いは?

受検して終わりではない、継続的な学びをご提供します。

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