パワハラのグレーゾーンとは?精神的攻撃の具体例と判断基準を解説

心理コラム

パワーハラスメントとは

パワーハラスメントの定義

パワーハラスメントとは、以下の3要件を全て満たすものになります。

  1. 職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって
    • 職場での地位や権力を利用して、相手に対して行われる言動が該当する
  2. 業務上必要以上かつ相当な範囲を超えもの
    • 仕事に関連した行為であっても、その範囲を超えた場合にはパワハラと認定される可能性がある
  3. その雇用する労働者の就業環境が害されること
    • 精神的、身体的に働き続けることが難しくなるほどの影響を与える場合が、パワハラに該当する

補足

客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導についてはパワーハラスメントに該当しません

パワーハラスメントの6つの行為類型

パワハラ行為には、次の6つの類型があります。

  1. 身体的な攻撃:
    暴力や暴行など、直接的な身体的な攻撃
  2. 精神的な攻撃:
    言葉や態度で相手に精神的な苦痛を与える行為(詳細は後述)
  3. 人間関係からの切り離し:
    無視や孤立させる行為
  4. 過大な要求:
    実行不可能な業務や不適切な量の仕事を押し付ける行為
  5. 過小な要求:
    能力に見合わない単純作業のみを強要するなど、適切な業務を与えない行為
  6. 個の侵害:
    プライバシーの侵害や私生活への干渉

特に、「精神的な攻撃」は判断が難しい部分が多く、グレーゾーンとされることが多いです。

パワーハラスメント定義について詳しくはこちら↑

精神的な攻撃とは?

「精神的な攻撃」は、職場での地位や権限を利用して、従業員に精神的な苦痛を与える行為を指します

1. 「精神的な攻撃」として認定される行為

「精神的な攻撃」には、次のような行為が含まれます:

  • 侮辱や名誉毀損
    人格を否定するような言葉や態度、根拠のない評価による侮辱
  • 無視や孤立化
    チームからの排除や集団での無視
  • 過度な叱責や説教
    公の場での過度な叱責、繰り返しの説教
  • 不当な評価や待遇
    業績に見合わない不当な評価や、意図的な待遇の悪化
補足

精神的な攻撃は個人の捉え方に依存する部分が大きいため、判断が難しい場合も多くあります。そのため、次の観点から状況を評価します。

2. 判断する際のポイント

「精神的な攻撃」をパワーハラスメントとして認定する際に注目すべきポイントは次の通りです。以下の該当する場合、パワーハラスメントと認定される可能性が高まります。

  • 頻度:一度だけではなく、頻繁に繰り返される行為
  • 時間:長時間にわたり行われる行為
  • 場所:公の場で、多数の人がいる前で行われた場合
  • 意図:故意に相手を傷つける意図があった場合
  • 影響:被害者が精神的・身体的に悪影響を受けたか、仕事に支障が出たか
  • 第三者の視点:客観的に見て不適切と感じられる行為

グレーゾーンの具体例と判断基準

パワーハラスメントのグレーゾーンに該当する行為は、明確にパワハラと判断されるケースとは異なり、行為の内容や受け取り方、状況によってパワハラかどうかの判断が難しいことがあります。特に、精神的な攻撃やコミュニケーションの不和が関係する場合は、パワハラとして認定されるかどうかが曖昧です。ここでは、グレーゾーンに当たる具体的な例と、その判断基準について紹介します。

1. 軽い冗談や皮肉な言葉

具体例:
上司が部下に対して「君、本当にこれくらいしかできないの?」と冗談交じりに言う。

判断基準:
冗談や皮肉のつもりでも、相手がそれをどう受け取るかが重要です。軽い冗談でも相手がそれを侮辱と感じた場合、特に頻繁に繰り返されるとパワハラと認定される可能性があります。言葉の背景に上下関係がある場合は、さらに注意が必要です。

2. 業務に対する厳しい指導

具体例:
ミスをした部下に対して、厳しく指導し、「次回も同じミスをしたらもう仕事を任せられない」と強く言い渡す。

判断基準:
指導そのものがパワハラに当たるわけではありませんが、その方法が問題です。指導が感情的であったり、大声で行われる場合は、パワハラとみなされるリスクが高まります。特に、多くの同僚がいる場で感情的に行われた場合、本人に大きな精神的なダメージを与えることがあるため、注意が必要です。

詳しくはこちら↑

3. 社内での無視や孤立化

具体例:
社内のチャットやミーティングで、特定の社員の意見のみ無視をしたり意図的に返答を避ける

判断基準:
業務上のコミュニケーションが取られているかに関わらず意図的に無視する行為は、精神的な苦痛を与える可能性があります。職場内での人間関係の切り離しが継続されると、その社員が孤立し、業務に支障が出る場合や精神的に追い詰められることが考えられます。これはパワハラとして認定されるリスクが高まる行為です。

パワハラ防止のために管理職ができること

管理職は、パワハラのリスクを減らすために、日頃から次のような対策を講じることが重要です。

  1. 定期的なコミュニケーション
    部下と定期的にコミュニケーションをとり、意見を聞く姿勢を持つことで、無自覚なパワハラを防ぐことができます。
  2. 公平な評価制度の導入
    客観的な評価基準を設け、業績に基づいた公平なフィードバックを行うことが大切です。
  3. 研修やトレーニングの実施
    パワハラに関する研修を定期的に実施し、社員全体で問題意識を共有しましょう。

まとめ|マネジメント検査のご紹介

パワーハラスメントは、複数の要素を総合的に判断して決定されます。管理職として、これらの基準を理解し、正しく指導を行うことが重要です。そのためには、日頃から部下とのコミュニケーションを密にし、公平なフィードバックを提供することで、パワハラのリスクを減少させることができます。

Q. どんなことができるの?

  • リーダータイプを診断します
  • リスクチェックを行います
  • 管理職としての得意分野や苦手分野を可視化します

Q. どんな効果があるの?

リスクチェックや苦手分野といった、普段指摘しづらい課題を可視化することで、EQの高い管理職を育成することが可能になります。これにより、部下の潜在能力を引き出すだけでなく、離職予防メンタルへルス不調の予防といった、組織全体の健康維持の効果が期待できます。

Q. 他社との違いは?

受検して終わりではない、継続的な学びをご提供します。

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