部下のやる気を削ぐ!? チクチク言葉と言い換え

心理コラム

職場で何気なく使う言葉が、意図せず相手に心理的ダメージを与えることがあります。これらは「チクチク言葉」と呼ばれ、使い方次第で職場の雰囲気を悪化させ、チームの生産性や社員のやる気に影響を及ぼします。
この記事では、職場でよく使われる「チクチク言葉」とその言い換え例を紹介し、より良いコミュニケーションを取るためのアドバイスをご紹介します。

職場のチクチク言葉 10選

1. こんなことも分からないの?

相手の知識や能力を軽視し、相手を見下す印象を与える言葉です。特に「こんなことも」という言い回しは、基本的なことが理解できないことを強調しています。

よくある場面

社員

すみません、▲▲についてお伺いしたいのですが…

上司

こんなことも分からないの?それでよくやってこれたね

影響

社員は自信を失い、上司に対して質問をためらうようになります。結果として、成長の機会を失うだけでなく、ミスや問題が事前に解決されず、状況が悪化する可能性があります。

言い換え例

  • 「今回初めてやる業務だよね、こうだよ」
  • 「一緒に確認してみようか」

※ 社員が疑問を抱えていることを感じた際は、上司としてその背景を理解し、建設的なフィードバックを行うことが大切です。

2. やる気あるの?

相手のやる気や意欲を疑うことで、相手に対して否定的な印象を与える言葉です。この言葉により、聞き手は、自分の行動が問題視されているだけでなく、人格や姿勢そのものを否定されたと感じることが少なくありません。

よくある場面

社員

遅れてすみません

上司

あのさぁ、やる気あるの?

影響

社員はやる気を疑われることで、自分の努力や意識が正当に評価されていないと感じ、不信感を抱くようになります。これにより、積極的な行動や自主性が失われ、業務に対する姿勢が消極的になります。

言い換え例

  • 「最近、お疲れの様子だけど、大丈夫?」
  • 「何かあったの?」

※「大丈夫?」というシンプルな問いかけは、相手の精神的な負担を軽減することができます。

3. こんなこともできないの?

相手の能力やスキル不足を強調し、相手の自信を傷つける言葉です。特に「こんなことも」という表現は、相手の行動や判断に対して「それくらい簡単なことなのに」と暗に指摘しており、聞き手に劣等感を与えます

よくある場面

社員

ミスをして申し訳ありません。

上司

こんなこともできないの?

影響

社員に「自分は能力が低い」「役に立たない」という自己評価を植え付けてしまう可能性があります。これにより、社員は失敗を過度に恐れ、リスクを避けようとする傾向が強まります。

言い換え例

  • 「この部分が少し難しいと感じているのかな?」
  • 「どうすればもっとスムーズにできるか一緒に考えよう」
  • 「この機会に、一緒にこの部分を復習してみようか」
  • 「他に必要なものがあれば遠慮なく言ってね」

※「一緒に考えよう」という提案は共に課題解決に取り組む協力的な姿勢を示します。

4. 他の人はもっと上手だったよ

他の人と比較することで、相手に「自分は劣っている」という印象を強く与える言葉です。こうした比較は、フィードバックとしては不適切であり、相手の自己肯定感や成長意欲を削ぐ可能性が高いです。

よくある場面

社員

プレゼン、緊張しましたが完了しました。

上司

他の人はもっと上手だったよ。もっと頑張って。

影響

他人と比較することで評価をする行為は、一部の社員にとってはモチベーションを高めることもありますが、多くの社員にとっては自信を失わせる行為になります。そのため、長期的には競争によって疲弊し、職場がギスギスしたものになる可能性があります。

言い換え例

  • 「●●さんの場合、ここが良かったから、そこをさらに伸ばしていこう」
  • 「前回の▲▲の仕事では、ここが特によかったね」

※ 個々の努力や能力を認めることで、安心感と成長意欲を与えることが大切です

5. それ、前にも言ったよね?

相手の不注意や理解不足を非難する言葉です。上司や指導者がこのような言葉を使うことで、社員の自信を奪い、質問や意見交換をためらわせる原因となります。

よくある場面

社員

▲▲についてお伺いしたいのですが…

上司

この前の会議で言ったよ。聞いてなかったの?

影響

相手に対して厳しい態度を示すことで、「これ以上質問すると、また非難されるかもしれない」という恐怖心を抱き、結果的に質問をためらったり、自らの理解不足を隠してしまうことがあります。そして、重要な確認や詳細な理解が不足したまま業務を進めることになり、最終的には大きなトラブルやミスに発展する可能性があります。

言い換え例

  • 「▲▲の件は、前回の会議でも議題になったね。前回の話も踏まえて再度説明するね」
  • 「分からなかったらいつでも聞いていいからね」
  • 「ついでにメモ取ると便利かも」

※ 上司が部下の成長を支援する姿勢を示す前向きな言葉を使うことで、社員に安心感を与えることができます

6. 全然ダメ。違う。

成果物や行動を全面的に否定する言葉です。特に「全然ダメ」という表現は、結果だけを見て相手の努力や過程を全て無視するものです。

よくある場面

社員

プレゼン資料を作成しました。確認をお願いします。

上司

全然ダメ。資料が分かりにくい。

影響

全面的な否定は、相手に対して「何もかもが間違っている」という印象を与えます。こうした言葉を受けた社員は、どんなに努力してもその結果が認められずに否定されると感じます。このような環境が続くと、社員は新しい挑戦やアイデアを出すことがリスクであると感じ、現状維持に徹する傾向が高まります。

言い換え例

  • 「●●の部分はいいけど、▲▲をもう少し工夫するとさらに良くなるよ」
  • 「▲▲の部分について、もう少し議論してみようか」

※「この部分は良い」という前置きによって相手の努力をまずは認め、それに続く形で改善点を伝えることで次回への改善意欲を引き出すことができます。

7. 自分で考えて動いて

一見、相手の自主性を促すように聞こえますが、実際には指示を求める社員に対して対応を放棄する言葉です。まだ経験が浅い社員や、サポートが必要な状況にある場合、この言葉は相手に不安を与え、結果的に業務の進行を妨げる原因になります。

よくある場面

社員

これはどうしたら良いですか?

上司

それくらい自分で考えて動いてください

影響

まだ経験が浅い社員や、業務の詳細を理解していない状態でこのような言葉を受けると、「質問をすること自体が悪いこと」という印象を与え、結果的に、社員は質問を避けるようになり、自分の判断で進めた仕事がミスや誤解を生む可能性が高まります。これにより上司との信頼関係が損なわれ、コミュニケーションを避けるようになる可能性があります。

言い換え例

  • 「あなたはどう思う?」
  • 「まずは●●について、調べてみましょう」
  • 「▲▲に注目して、もう一度考えてみてください」

※ 社員に考える機会を与えつつ、協力的な姿勢を示すことが効果的です。

8. 忙しいから後にして

業務が立て込んでいる時にしばしば返答として用いられますが、「社員の相談や質問は重要ではない」という印象を与える言葉です。

よくある場面

社員

相談したいのですが…

上司

忙しいから後にして

影響

社員が自身の相談や問題が軽視されていると感じると、必要な時に報告や相談をためらうようになります。その結果、問題が放置され、業務の遅延やミスが発生しやすくなります。特に「いつ相談しても上司に邪険にされる」と感じるようになると、信頼関係が崩れ、職場全体の雰囲気も悪化してしまいます。

言い換え例

  • 「今、手が離せないので、●分後でも大丈夫?」
  • 「業務がひと段落したら声をかけるね」
  • 「今日中には必ず聞くから少し待ってもらえるかな?」

※ 一つ一つの言葉を丁寧に表現することで柔らかな表現に変えることができます。

9. 結局何が言いたいの?

相手の話を一方的に遮断し、理解しようとしない姿勢を示す言葉です。説明が不十分なときや、話が分かりにくいと感じるときに使われがちですが、このフレーズは冷たく感じられ、相手に不快感を与える可能性があります。

よくある場面

社員

ここがこうで…ここが…、ただそうなると…

上司

うん、全然わからない。結局何が言いたいの?

影響

特に説明が苦手な社員や、緊張している状況では、言われた側は萎縮しやすくなります。結果、意見を言うのをためらうようになり、職場でのコミュニケーションが滞ります。社員が自由に意見を言えない環境では、職場の改善や創造的なアイデアが生まれにくく、職場全体が停滞する可能性もあります。

言い換え例

  • 「要点をまとめると、どういうことになるかな?」
  • 「少し整理しながら話してくれると助かるよ」
  • 「つまり●●ということ?」

※ 相手を責める言葉を避け、具体的な言葉で質問することで、より的確な答えを引き出すことができます。

10. 余計なことしなくていいから

相手の自主性や創意工夫を否定する厳しい言葉です。特に、社員が自発的に改善を試みたり、自分なりに考えて行動した際に、このような発言を受けると、「自分の意見や努力は無意味だ」と感じさせる恐れがあります。

よくある場面

社員

データが分かりにくかったので一部修正しました。ご確認お願いします。

上司

余計なことしなくていいから

影響

特に、社員が一生懸命考えて提案を形にしようとしている場面でこのような否定的なフィードバックを受けると、「自分は評価されない」「何をしても無駄だ」という思いに至ることが少なくありません。これにより、社員は次第に指示待ちの状態に陥り、職場全体の活力やイノベーションの可能性が大きく減少します

言い換え例

  • 「工夫してくれてありがとう」
  • 「状況を見て判断させてください」

※ 社員が自発的に考え、動く環境を作るためには、上司が相手の提案に対してまず感謝や評価を示し、その上で必要な修正や方向性の確認を行うことが大切です。

まとめ|マネジメント検査のご紹介

職場でのコミュニケーションは、何気ない一言が相手に大きな影響を与えることがあります。チクチク言葉を避け、相手の努力や気持ちを尊重する言葉を選ぶことで、より良い職場環境を築くことができます。自分の言葉が相手にどのような影響を与えるかを常に考え、建設的で前向きなコミュニケーションを心がけましょう。

Q. どんなことができるの?

  • リーダータイプを診断します
  • リスクチェックを行います
  • 管理職としての得意分野や苦手分野を可視化します

Q. どんな効果があるの?

リスクチェックや苦手分野といった、普段指摘しづらい課題を可視化することで、EQの高い管理職を育成することが可能になります。これにより、部下の潜在能力を引き出すだけでなく、離職予防メンタルへルス不調の予防といった、組織全体の健康維持の効果が期待できます。

Q. 他社との違いは?

受検して終わりではない、継続的な学びをご提供します。

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