押し付けるだけではダメ!現場を変える改善策の作り方
職場では、社員の業務を見直す必要が生じる場面が少なくありません。そんな時、「この方法でやってみて!」と指示を出したものの、相手の反応が薄かったり、思うように行動に移してもらえなかった経験はないでしょうか?
このような状況の背景には、改善策が一方的に押し付けられていると感じられることで、相手の納得感や主体性が育まれないという問題があります。その結果、せっかくの注意や提案が相手に響かず、効果を発揮しないばかりか、信頼関係を損なうリスクさえ伴います。
本記事では、「押し付けられた改善策がなぜ機能しないのか」を掘り下げ、その改善策を効果的に伝える方法について具体的に解説します。
もくじ
押し付けられた改善策が機能しない理由
現場の理解不足
押し付けられた改善策が機能しない主な理由の一つは、提案者が現場の状況を十分に理解していない場合が多いことです。その結果、現場の実情からかけ離れた、柔軟性に欠ける解決策となることがあります。このような改善策は、想定外の問題やトラブルに対応できないばかりか、場合によっては新たな問題を引き起こすことさえあります。
【具体例】
・効率化を目的に新しいシステムを導入したものの、現場からは「また面倒なことが増えた」と不満が出る
・事務処理を削減した結果、重要な確認作業まで省略され、トラブルが頻発する
主体性の欠如
人は自分で選び、決定したことには責任感を持ち、積極的に取り組む傾向があります。しかし、外部から一方的に与えられた改善策に対しては心理的な抵抗感が生じやすくなります。この抵抗感は、心理的な防衛反応として現れ、強制されるほど反発心が強まります。その結果、提案された改善策が実行されなかったり、形だけの取り組みに終わるケースが少なくありません。
【具体例】
部下に「これからは毎朝チェックリストを使いなさい」と指示したが、形だけのチェックにとどまり、本来の目的が果たせない、またはチェックリストが使われない
ポイント
押し付けられた解決策では、現場の理解や主体性が欠如し、実際に成果を上げることは難しくなります。組織を効果的に運営するためには、現場の声にしっかり耳を傾け、課題を正確に特定し、その解決策に対する納得感を現場に与える仕組みが不可欠です。
これらの視点が欠けてしまうと、改善策は現場で機能せず、机上の空論に終わってしまう可能性が高まります。
取るべき対応は「共に考えること」
効果的な指導のためには、部下と共に問題を考え、解決策を見出すことが重要です。
では、以下に、部下がミスをした場合の対応フローを5つのステップに分けて解説します。
STEP1:状況の把握
まず、ミスが発生した状況を正確に理解することが必要です。部下から詳細な情報を聞き出し、「何が起きたのか」「どのような経緯でミスが発生したのか」を確認します。この段階では、責任追及ではなく、事実確認と原因の特定に集中することが重要です。
適切な問いかけ例:
- 「どのような状況だったのか教えてください。」
- 「今回の件について、何が起こったのか詳しく聞かせてください。」
- 「発生した経緯を教えてください?」
STEP2:原因の分析
状況を把握した後、ミスの原因を分析します。人的ミスであれば、スキル不足や情報共有の不備、手順の理解不足が考えられます。一方で、システムやプロセスの問題が原因であれば、その箇所を特定します。
適切な問いかけ例:
- 「根本的な問題は何だったと思いますか?」
- 「考えられる原因はありますか?」
STEP3:部下の意見を引き出す
原因が明らかになったら、部下と共に改善策を考えます。この段階では、部下に対して改善策を提案するのではなく、彼らの意見や提案を尊重し、最適な改善策を模索します。このプロセスを通じて、部下の主体性を引き出し、改善策への納得感を高めます。
適切な問いかけ例:
- 「今後、同じミスを防ぐためにどのような方法が考えられますか?」
- 「どうすれば今後うまくいくと思いますか?」
- 「私はこう思うけれど、それに対してどう思いますか?」
STEP4:改善策の実行
話し合いで決定した改善策を実行するための具体的なアクションプランを作成します。この際、必要なサポートやリソースを提供し、部下が責任をもって取り組める環境を整えます。
適切な声かけ例:
- 「このプランで進めてみましょう。不安なことがあれば相談してください」
- 「進捗を見ながら必要に応じて調整しましょう」
STEP5:フォローアップ
最後に、改善策が効果を発揮しているかを確認し、部下にフィードバックを行います。良い結果が出ていれば積極的に評価し、モチベーションを高めます。改善が必要な場合でも再度対話を重ね、次のステップを考えます。継続的なフォローアップを行うことで、部下の成長を促進し、ミスの再発防止につなげます。
適切な声かけ例:
- 「改善が進んでいて素晴らしいですね。今後もよろしくお願いします」
- 「必要があればサポートしますので、遠慮なく教えてください」
まとめ
押し付けられた解決策は、現場の実情を無視し、社員の主体性を損なう要因となりがちです。
しかし、管理職の関わり方ひとつで、状況は大きく変わります。どんな言葉が部下のモチベーションを下げているのか、逆にどんな言葉が彼らのやる気を引き出すのか――。まずは日々のコミュニケーションが部下にどのような影響を与えているのかを振り返り、改善のヒントを見つけてみてください。
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Q. どんなことができるの?
- リーダータイプを診断します
- リスクチェックを行います
- 管理職としての得意分野や苦手分野を可視化します
Q. どんな効果があるの?
リスクチェックや苦手分野といった、普段指摘しづらい課題を可視化することで、EQの高い管理職を育成することが可能になります。これにより、部下の潜在能力を引き出すだけでなく、離職予防やメンタルへルス不調の予防といった、組織全体の健康維持の効果が期待できます。
Q. 他社との違いは?
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