ADHDとは?職場での困難と支援

心理コラム

ADHD(注意欠如多動性障害)は、発達障害の一つであり、不注意(集中力がない)、多動性(落ち着きがない)、衝動性(キレやすい、思いつくと行動してしまう)といった症状がみられます。

ADHDの特徴

1.注意欠如

忘れ物をする人

注意を長時間続けることが難しく、詳細や指示を見落とすことがあります。

  • 物忘れやなくしものが多い
  • 約束や期限を忘れる
  • ケアレスミスが多い
  • コツコツやることが苦手
  • マルチタスクが苦手

多動性

落ち着きがない人

多動性は、過度な活発性や落ち着きのなさを特徴とします。

  • 長時間座ることが苦手
  • 手や足を絶えず動かしたりぶらぶらさせたくなる
  • 落ち着きがない

衝動性

衝動的な人

衝動性は、衝動的な行動や思考を特徴としています。

  • 後先考えずに意思決定をする(衝動買いや無計画な行動など)
  • 自制が効かない(他人の話を遮って自分が話す、我慢ができない)
  • 反射的にしゃべる

症状の現れ方

ADHDの3つの特徴は、同時に全て現れるわけではありません。症状の現れ方は個人差があり、大きく分けて①不注意優勢型、②多動・衝動性優位型、③混合型 の3タイプに分けられます。

① 不注意優勢型

不注意優位型

不注意優勢型のADHDは、注意欠如の特徴が顕著に表れるタイプです。そのため、忘れっぽさ気の散りやすさなどの特徴が顕著に表れます。ただし、衝動性や多動性の症状が全くないわけではなく、不注意の特徴よりも軽度であることが一般的です。

② 多動・衝動性優位型

多動・衝動性優位型

多動・衝動性優位型のADHDは、多動性と衝動性の特徴が顕著に表れるタイプです。そのため、落ち着きがない活発感情のコントロールが苦手な傾向があります。

③ 混合型

混合型

混合型のADHDは、注意欠如と多動・衝動性の症状が同等に表れるタイプになります。

職場での困難と支援策 4選

ADHDは「やればできる」「努力すればできる」というような根性の問題ではなく、脳の情報処理の問題だと理解し、周囲がサポートできる体制づくりが必要です。

1.同じミスを繰り返す

衝動性により、一瞬でも「ふと」止まって考えることができず、反射的に行動することで同じミスを繰り返します。これは、過去から学ばないのではなく、反応が早すぎて、過去の経験を思い出す余裕がないためです。このため、周囲からは何も考えていないように見えることがあります。また、注意が散漫になりやすく、タスクを忘れたり、手順を誤ったりすることも、同じミスを繰り返す原因の一つです。

【支援策】

  • タスクのミスをチェックするためのチェックリストを提供する
  • 深呼吸をして「考える時間」を設ける
  • 定期的なフィードバックを行い、ミスの原因分析や改善策を一緒に考える

2.マルチタスクができない

ADHDの人はワーキングメモリが弱いため、多くの情報を一度に処理したり、複雑なタスクをこなしたりするのが難しいです。そのため、マルチタスクが苦手で、同時に複数の指示を受けると一部を忘れたり、電話中にメモが取れないことがあります。

【支援策】

  • マルチタスクを避ける:一つずつタスクを完了させる時間を確保しましょう。ワーキングメモリの弱さから、マルチタスクは避けた方が良いです
  • タスクを紙に書き出す:マルチタスクが避けられない場合は、全てのタスクを紙に書き出します。そうすることで、思考が混乱するのを防げます。
  • 大きなノートに記入する:メモした紙を失くすこともしばしばあります。そのため、小さな紙ではなく、メモ専用の大きなノートにタスクを書きましょう。

3.眠気を感じやすい

ADHDの人は、注意力を維持するのが難しく、集中を保つために多大な努力が必要です。その結果、脳が過度に活発になり、疲労が蓄積しやすく、日中に眠気を感じやすくなります。また、ADHDの人は睡眠障害であるナルコレプシーを合併しやすいという特徴もあります。

【支援策】

  • 定期的な休息を取る:リフレッシュする時間を確保しましょう
  • 職場環境を整える:光や雑音を極力減らして、集中しやすい環境を作りましょう。
  • 睡眠リズムを改善する:自宅では22時以降にPCやスマホを見ない、夜更かしをしないなど、良い睡眠習慣を身につけましょう

4.話があっちこっちに飛躍する

ADHDの人は、短い質問には即答できるものの、複数の質問を受けたり回答すべき内容が増えると、多動性の影響で思考があちこちに飛んでしまうことがあります。その結果、何について話していたか忘れてしまい、次の質問を見落としたり、要点を外した回答をしてしまうことがあります。

【支援策】

  • 話の構成を事前に考える:話す前に要点をメモするように伝える
  • フィードバックを受ける:話し方についてフィードバックを受け、改善点を見つける

まとめ|通信教材で発達障害の理解へ

ADHDの人は、不注意によるケアレスミスや物忘れが多いため、周囲から叱られることが多く、自尊心が傷つき、自信を無くした人が多いです。しかし、ADHDの人は直感力に優れ、既存の枠にとらわれず、自分の好きなことに熱中し、才能を発揮することができます。注意が色々な方向に向くため、他の人が気づかないことに気づく良い面もあります。そのため、周囲がADHDの特性を理解し、サポートし合うことで、その力を最大限に引き出すことが大切です。

発達障害の有無にかかわらず、人にはそれぞれ得意なことや苦手なことがあり、その特性は一人ひとり異なります。
この通信教材は、職場でお互いの特性を理解し合い、誰もが自分の力を最大限に発揮できる環境を作るためのサポートを目的としています。

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