部下の信頼を損なう“間違った共感”の例とその改善方法

心理コラム

社員からの悩み相談に「わかるよ!」と寄り添うことで共感を示すことがありますが、実は「共感」には落とし穴も潜んでいます。間違った共感を行うことで、かえって相手を傷つけることがあります。ここでは、よくある5つの間違った共感の例と、その改善方法について紹介します。

間違った共感とは

1. 表面的な共感

「表面的な共感」とは、相手の話を深く聞く前に「それは大変だったね」ととりあえず共感する言葉を投げかけることを指します。このような場合は、内心では相手の話に興味がないことが相手に伝わり、相手は「適当にあしらわれた」と感じさせてしまいます。

【よくある例】

  • 「それは大変だったね」と言った直後に別の話題に移る
  • 「本当にわかるよ」と口では言うが、心の中では相手の話に関心がない

本当の共感を示すために

表面的な「共感の言葉」を伝える前に、まずは相手の話をしっかりと聞き、そのうえで一歩踏み込んだ質問をしましょう。例えば、「それは大変だったね。誰かに相談したりした?」と尋ねることで、相手は「この人はちゃんと話を聞いてくれている」と感じやすくなります。

2. 競争的な共感

「競争的な共感」とは、相手の話に対して、「自分の方がもっと大変だ」とアピールすることを指します。自分の体験や感情を持ち出して、相手の気持ちを打ち消すような形になってしまうと、会話が対立や反発を生む原因になります。

【よくある例】

  • 相手が「昨日残業が大変だった」と言った時に、「俺も昨日残業で夜中まで仕事してたよ」と返す
  • 「それくらいで悩むなんて、世の中にはもっと大変なことがあるよ」と言ってしまう

本当の共感を示すために

まずは「どこら辺が大変だった?」と残業の原因や内容を聞くことで部下の苦労を理解し、共感の気持ちを伝えることができます。そのうえで「かなり大変だったけど、よく仕上げてくれたね」と成果を認めることで部下の士気を高めることにも繋がります。

3. 問題解決に急ぐ

相手の悩みに対して、すぐに解決策を提示することも多くの人が陥りがちな「間違った共感」の一つです。相談するのはあなたからアドバイスが欲しいのではなく、ただ話を聞いてほしいだけのことがほとんどです。そのため、急なアドバイスは逆効果になります。

【よくある例】

  • 「仕事で悩んでいる」と相談を受けた時、「それならこうすればいい」とすぐにアドバイスをする
  • 「最近寝不足で…」と言う人に対して「もっと早く寝たら?」と返す

本当の共感を示すために

相手の悩みを相談されたら、まずは「何があったの?」と話を深ぼり、相手の気持ちを引き出しましょう。相手が気持ちを吐き出すことができたら、それが共感になります。さらに「何か私にできることがあれば教えて」と一言添えることで、相手は話しやすくなり、対話が深まります。

4. ポジティブ思考の強制

相手の苦しみや悲しみの感情に対して、ポジティブな視点を伝える行為は、一見すると良い行動のように思いますが、ポジティブの押し付けは相手の苦しみを軽視することにつながるため、かえって相手を傷つけることがあります。

【よくある例】

  • 相手が仕事の失敗を相談した時、「その経験は成長のためだと思えばいいじゃないか」と言ってしまう
  • 「きっといいことがあるよ、ポジティブに考えよう!」と無理に前向きな言葉をかける

本当の共感を示すために

まずは相手の気持ちをそのまま受け止め、「それは本当に辛い経験だったね」と共感の姿勢を見せることが大切です。その後、少し落ち着いたタイミングで「その中で何か学びがあれば、それも大切にしたいね」と言えば、相手にも負担なくポジティブな視点を共有できます。

5. 自己中心的な共感

「自己中心的な共感」は、相手の話に対して「自分も同じ経験をした」など自分の経験に話をすり替え、結果的に自分ばかりが話してしまうことを指します。

【よくある例】

  • 「最近仕事がうまくいかない」と言われた時に、「私も昔そうだったよ」と自分の話に変える
  • 「上司と意見が合わない」と相談された時、「私も同じような状況だったよ」と返す

本当の共感を示すために

まずは「何があったの?」と状況を確認したり、「その時、どんな対応をしたの?」と具体的に相手の話を引き出しましょう。自分の体験を話したくなったとしても、それは相手が一通り話し終えてからがベストです。

共感に必要なのは「質問力」

間違った共感の例からわかるように、真の共感とは相手の気持ちに寄り添い、相手の気持ちを引き出すことです。そのためには、相手が安心して心を開き、話しやすくなるような「質問」を投げかけることが重要です。その質問は特別なものである必要はなく、相手が気持ちや考えを話しやすくなるシンプルな問いかけで十分です。
例えば、「大丈夫?」「誰かに相談した?」「その時どのように対応した?」「具体的にどんなところが辛かったの?」といった簡単な質問を重ねていくことで、相手は自分の心の内を伝えやすくなり、それが本当の共感につながります。

より具体的な質問の仕方については、こちらのコラムで詳しく紹介しています。

まとめ|通信教材で人材育成

間違った共感の共通点は「相手の気持ちを十分に理解する前にリアクションしてしまうこと」です。これでは、相手は「自分の話をちゃんと聞いてもらえなかった」と感じてしまいます。
特に、管理職やリーダーシップを取る立場の人は、共感力を磨くことが大切です。
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この記事を書いた人

株式会社Tell Tool 編集部

Tell Toolは「Webテスト」と「通信教材」を用いて人材育成を支援する会社です。チェック&学習を組み合わせることで効果的な学習をご支援いたします。

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