「なぜなぜ分析」のやり方と注意点
トヨタ自動車の生産現場で生まれた「なぜなぜ分析」は、問題の根本原因を追求し、解決策を見出すための強力な手法です。この記事では、なぜなぜ分析の基本的なやり方や効果的な実施方法、注意点について詳しく解説します。
もくじ
なぜなぜ分析とは
なぜなぜ分析は、問題の根本原因を明らかにするために、繰り返し「なぜ?」と問い続ける方法です。トヨタ自動車の生産現場で発展したこの手法で、表面的な問題を解決するだけでなく、隠れた根本原因や課題を探り当てることができます。通常、5回程度「なぜ?」を問い続けることで、真の原因にたどり着くとされています。
なぜなぜ分析の目的
- 原因の特定:問題を引き起こしている真の原因を明らかにします
- 再発防止:問題が再び発生しないように、効果的な再発防止策を考え、実行します
なぜなぜ分析の手順
- 事実の深堀り:
問題発生に至った経緯や状況をヒアリングします。ヒアリングしたうえで、問題を設定しましょう。 - 「なぜ?」を繰り返す:
問題に対して「なぜ?」と問い、出てきた答えに対して再度「なぜ?」と質問を繰り返します。 - 原因の検証:
導き出した原因が正しいか、客観的なデータや事実で検証します。思い込みや感覚に惑わされないことが大切です。 - 対策の検討:
特定された原因に対して、効果的な対策を立案します。 - 対策の実施:
立案した対策を実行し、効果を検証します。もし効果がなければ、再度「なぜなぜ分析」を行います。
実施時の注意点
1. 個人の責任追及の場にしない
なぜなぜ分析は、個人や部署の責任を追及するための手法ではありません。目的はあくまでも根本原因の特定と問題解決です。責任を追及する姿勢を避け、組織全体で解決策を見つけましょう。
例えば、「〇〇さんのやる気がなかった」「注意が足りなかった」といった属人的な原因に行きつくと、当事者を責める形になり、最終的に「私が悪かったです」と謝罪を引き出すだけで終わってしまいます。これでは、根本原因の特定や解決にはつながりません。
「人を疑う前に、仕組みを疑え」という言葉があるように、なぜなぜ分析では、組織の仕組みやプロセス、環境に焦点を当てましょう。〇〇さんのやる気がない背後には、目標が不明確だったり、必要なスキルやサポートが不足していた可能性もあります。個人を責めず、組織全体で問題点を洗い出すことで、再発防止や成長につながります。
2. なぜなぜ分析の前にヒアリングを行う
関係者の意見を聞かずに、自分の経験や知識だけで問題や原因を特定すると、主観的な判断になりがちです。
例えば、製品の不良の原因を分析する際に、設計者や製造担当者の意見を聞かずに「設計ミスだ」と結論付けてしまうことがありますが、実際には製造過程や原材料の品質に問題があることも考えられます。関係者の意見を聞くことで、多角的な視点から問題を捉え、真の原因にたどり着けます。
3. 原因を一つに絞り込まない
問題は、複数の原因が絡んでいることが多いため、一つの原因に固執しない柔軟さが必要です。
例えば、製品の不良率が高い場合、製造工程だけでなく、設計、原材料、さらには市場の動向まで幅広く分析することが大切です。一つの原因に絞ってしまうと、他の重要な要因を見逃し、根本的な解決が難しくなることがあります。
4. 安易な対策や過剰な対策を避ける
なぜなぜ分析の結果、安易に対策を講じたり、過剰な対策を取ると、逆に業務効率が下がったり、新たなミスを引き起こす可能性があります。対策を実施する際は、費用対効果を十分に検討し、バランスの取れた対応が必要です。
例えば、顧客からのクレームを減らすために、すべての顧客対応を記録し、詳細な報告書を作成するという対策が講じられるケースがあります。これにより、透明性は増しますが、報告書作成が手間になることで、現場の負担が増え、結果的にそれが新たなミスの原因となる可能性もあります。対策は、効果的であることが重要ですので、過度にならないよう注意しましょう。
なぜなぜ分析の例
例: 製品の不良が発生した場合
- なぜ製品に不良が発生したのか?
→ 部品Aが正確に取り付けられていなかった。 - なぜ部品Aが正確に取り付けられなかったのか?
→ 作業員が手順を誤った。 - なぜ作業員が手順を誤ったのか?
→ 手順書が分かりにくかった。 - なぜ手順書が分かりにくかったのか?
→ 作業工程が複雑化していた。 - なぜ作業工程が複雑化していたのか?
→ 新しい設備導入後、手順の見直しが行われていなかった。
この例では、根本原因として「新しい設備導入後に手順の見直しが行われていない」という問題が特定されました。対策としては、手順書の更新や作業員への教育が必要となります。
まとめ|通信教材で人材育成
なぜなぜ分析は、問題の根本原因を特定し、再発防止に向けた効果的な対策を講じるための強力なツールです。しかし、その効果を最大化するためには、感情的な判断を排除し、事実に基づいた冷静な分析を行うことが重要です。問題解決のプロセスを深く掘り下げることで、組織全体の改善や成長を促進することができます。
管理職としての役割理解を深めるだけでなく、仲間への理解や円滑なコミュニケーションを促進し、学びを実践に活かす力を養います。
通信教材の効果
- リスキリングによる成長支援
- 世代間ギャップを解消し、ストレスを軽減
- EQ(感情知能)の向上によるコミュニケーションの改善
コンテンツの詳細や資料請求はこちらからご確認いただけます。
この記事を書いた人
株式会社Tell Tool 編集部
Tell Toolは「Webテスト」と「通信教材」を用いて人材育成を支援する会社です。チェック&学習を組み合わせることで効果的な学習をご支援いたします。
お気軽にお問い合わせください。050-3091-1032受付時間 9:00-18:00 [ 土・日・祝日除く ]
お問い合わせ お気軽にお問合せください